蓮の種の収穫と成長(蓮、成長日記①)

種を採っているところ
石仏売店で販売中の蓮の種、どんな風に採れると思われますか?
花の散った後に残る花托には、ハチの巣状に穴が空いています。
一つの花托には約20個の穴が空いており、各穴の中に黒いコロンとした種が一つずつ入っています。
花托が青いうちは、種も養分を吸収するため穴にしっかり付いていてなかなか外れません。
ふかふかのベッドという感じです。
花托が乾燥してくると、穴が大きくなり種がこぼれ落ちやすくなります。
しかし、完全に乾燥した花托では、種は既にこぼれ落ちてしまって収穫できません。
頭は茶色く、茎は上の方だけ乾燥して残りの部分は黄色っぽい半分レアな状態の花托が種の収穫には適しています。
花托をぶんぶんと振ってうまく落ちてくれるものもありますが、多くは、ちょこっと先端がくっついており、ピックのようなもので外していきます。
その後1週間ほど天日に干して乾燥させます。
さて、実際どのように芽が出て育っていくかといいますと。
まず、発芽し易い様にとがってない方(お尻)にペンチなどで切れ込みを入れます。

切れ込みを入れた様子
写真は、水に入れて7日目の様子です。

水に入れて7日目の様子
3日目に発芽し、7日目には5センチにもなりました。ぐんぐん伸びていっております。
力強く育つ6月の蓮畑を思えば、この成長ぶりも納得できるものです。
みなさま、大きな花を咲かせる小さな芽を育ててみませんか?
昭和30年代のホキ石仏第1群への誘い

昭和30年代のホキ石仏第1群
お客様から昔の写真をいただきました。
(写真の掲載につきましては、お客さまより了承をいただいております。)
昭和30年代の古い石仏、その中でもホキ石仏第1群第1龕を撮影した貴重な写真です。亡くなられたお父様が撮影されたものとのことです。
約60年前、覆い屋もなく蔓が石仏のお顔にかかっています。
柵も簡易なもので、参拝者はすぐ傍らに仏様を感じたことでしょう。昔の石仏の魅力は、仏と参拝者が同じ空間に在るように感にじられたことや、自然の岩肌に彫られた粗削りとも言えそうな素朴さにあるのでしょう。
さて、写真の第1龕の如来三尊像は、存在感の強い2龕を隣にして、控え目な印象を与えがちな仏様です。
欠損も激しく、古い写真と同じように横から見ると、釈迦如来(中尊)の深く削れた顔が際立ちます。中は空洞に見えますが、現地で見ると抜け落ちた部分は少なく比較的安定していました。
3体のお顔は上を向いており、上品なカーブを描く眉と鼻のラインを持ちます。薬師如来(向かって左)の口元は経を唱えているように見えます。じっくり見ると、そこはかと漂う気品に気付かされる魅力的な龕です。

現在の写真
敢えて憂いのある3体の如来像を被写体に選ばれたお父様が、多くの仏像を観てこられた眼識のある方だったのだろうことが想像されます。
また、慈しみの心で鑑賞されたことをしみじみと感じさせられました。
1枚の写真を通して、今は訪れることのできない約60年前の石仏を観たような感覚をもつことが出来ます。
みなさま、この写真を眺めて、昔の石仏の魅力を感じてみませんか?
御朱印の上でも季節は秋へ~夏限定の御朱印「阿弥陀如来」は本日まで
この数日、真夏が戻ってきたような暑さが続いておりますが、8月も今日で終わり。
季節限定御朱印の夏Ver.「阿弥陀如来」も、本日までの取り扱いとなります。
明日からは、秋Ver.「観音菩薩」です。
昨年とは、少しデザインも変わっておりますので、お楽しみに!
御朱印の上でも季節は、秋へ。
朝顔と蓮の背景が夏らしい阿弥陀様の御朱印、もう見られなくなるのは寂しいものです。
しかし、この阿弥陀様は「美仏総選挙」にもエントリーしておりますので、秋からもよろしくお願いします。

上段右から3番目が夏限定御朱印の阿弥陀様
静かに煌めく石仏の夜

薄闇に灯る松明
先日お伝えしたように、「国宝臼杵石仏火まつり」は、感染症拡大防止のため中止とさせていただきました。
火まつりは、地元に伝わる「虫送り」・「豊作祈願」・「地蔵祭り」を発展させたものです。千本の松明で深田の里を彩り、石仏群の前に篝火を灯し、「火に映える石仏」・「石仏の里の神秘さ」を創出します。
開催日は毎年8月の最終土曜日、臼杵の夏の終わりの風物詩として親しまれております。
昨夜は、関係者のみによる、石仏供養及び疫病退散を願う「火まつり供養法要」と、五穀豊穣を願う地元の行事として、一部に松明が灯されました。

石仏供養と疫病退散を祈る火まつり供養法要

古園石仏入口の篝火
この時期にしては珍しく多くの星が夜空を彩り、いつもより少ない祭りの火を補ってくれているようでした。
この光景を直接ご覧いただけないことが残念ですが、みなさまが心穏やかな時を過ごされますよう、晩夏の石仏より祈っております。
なお、この模様は9/15(水)12時より、うすき市民チャンネル「うすき大好き!」の中で放送されますので、お楽しみに!。

夜の帳が下りて
臼杵石仏?臼杵磨崖仏?正しいのはどっち?
臼杵市民の方には「臼杵石仏」として有名な、臼杵の大事な国の宝。
全国各地から来られるお客様の中には「臼杵磨崖仏を見に来ました」とおっしゃる方も非常に多いです。
「臼杵石仏」とインターネットで調べてみても、wikipediaには「臼杵磨崖仏」と出てきて、何がなんだかさっぱり。
臼杵石仏と臼杵磨崖仏…。
みなさんはこの違い、分かりますか?
臼杵市民・大分県民の方は、身近にあるからこそ気にしたことがない、という方が多いのではないでしょうか?
果たしてどちらが正しいのでしょう?
正解は…
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どちらも正しい!です。
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まず名詞としての「石仏」と「磨崖仏」の違いから。
石仏(せきぶつ)とは、漢字の通り「石に彫られた仏像」のことで、古くから僧侶や権力者によって石や岩を彫り、様々なところでつくられてきました。
石に彫られた仏像であれば、サイズや形など特に決まりもなく、広い範囲で石仏と呼ばれています。
彫った仏像を祀ってお参りしたり、信仰の為にお寺や神社など、昔から人の集まるところに設置されることが多いようです。
日本人にはお馴染みの「お地蔵さん」もこの石仏の一種です。
臼杵石仏蓮畑にある、笑顔が素敵なこちら↑の仏像は、どこかで彫られたのちにここに設置されています。
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一方、磨崖仏(まがいぶつ)とは、自然界にある岩壁や崖に直接彫り込まれた仏像を指します。
自然界にあるため、屋根や囲いで保護することはありますが、基本的には屋外に彫られています。
さらに、仏像の背面は岩壁にくっついているため、その場所から動かすことはできません。
誰が何のために彫ったのかが分からないことが多いのですが、数人から数百人の僧侶などが雨風に打たれながら、修行のために彫ったとされることが一般的なようです。
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石仏と磨崖仏の違いが分かったところで、臼杵の石仏を見てみましょう。
臼杵石仏は自然界の岩壁に彫られていますので、動かすことはできません。
よって必然的に磨崖仏となります。
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それでは続いて、臼杵石仏と臼杵磨崖仏についてです。
上にも書きましたが、呼び方としてはどちらも正解です。
但し、違いはあります。
臼杵石仏は観光施設として、周辺の土地などもすべて含んだ名称で、臼杵磨崖仏は国宝として文化庁に登録されている、仏像を指す名称となります。
文化庁への登録は、
【名称】
臼杵磨崖仏(うすきまがいぶつ)
【文化財部類】
国宝・重要文化財(美術品)
【分類】
彫刻
【指定番号】
121
という分類で登録されています。
国宝登録は、壁に彫られた61体の仏像本体のみです。
もしお時間があったら、文化庁のページで国宝などを検索してみるとおもしろいかもしれませんよ^^