春のお彼岸には、九品の弥陀に立って

ホキ石仏第2群第2龕、九品の弥陀
菜の花が明るく咲き誇り、臼杵石仏ではうららかな春のお彼岸を迎えております。
今年の春のお彼岸は、3月18日(金)~24日(木)。
仏教では、太陽の昇る東をこの世(此岸)、没する西をあの世(彼岸)と考えます。
お彼岸の中日である春分・秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈むことから、両岸の起点と終点を結ぶ距離が最も短くなり、この世とあの世(彼岸)が最も近づく日とされます。
さて、石仏群の中で最も西に位置するのがホキ石仏第2群第2龕(九品の弥陀)です。

公園を挟んで向こうが此岸(現世)
東は満月寺のある一帯。その間の公園には古くは池があったとされ、これが三途の川に当たります。こうした池を挟んで浄土世界を造った空間を「浄土式庭園」といい、京都の平等院がその代表例です。亡くなった人を浄土へ導いてくれる「九品の弥陀」のある場所で、この構造が取られていることに、京都との深い関わりを実感させられます。
さらに、春分・秋分の日には九品仏の中心に座る阿弥陀様のお顔に朝陽が射す、という粋な現象が起こるのです。

雲間から覗く朝陽
今朝も、雲間から覗く朝陽が九体の阿弥陀様に明るく降り注いでいました。
みなさまがよき春分の日を迎えますよう、九品の弥陀より願っております。
今日から3連休
写真は古園石仏の降り口から石仏公園を見下ろしたところです。
菜の花がきれいに咲いて、春の風景が広がっています。
臼杵市は昨日久しぶりにたくさんの雨が降りました。
石仏入り口の川の水も、ずっと少ない日が続いていましたが、昨日の雨でかなり増えていて、泳いでいる鯉も嬉しそうです。
今日から世間は三連休。
みなさんの予定はどうですか?
花粉も飛び始めているようなので、花粉症の方はしっかり対策してお出かけしましょうね!
優しい?厳しい?大日如来様のお顔

正面から見た大日如来様
臼杵石仏の中で最も有名な大日如来像。
みなさまはどのような印象をお持ちでしょうか?
穏やかさ・優しさ・厳しさ・・・。
先日、大日如来像をご覧のお客様から「お顔の輪郭や造作は丸みを帯びていますが、表情からはひたひたと漂う厳しさが感じられます。」という感想をお聞きしました。
確かに、平たい顎、アーチ型の眉や伏し目がちな目、ふっくらした頬といった部分を念頭に置くと、まずは柔らかい印象を受けるものです。
しかし、実際にじっくり向かい合ってみると、目は切れ長で鋭く、口元は引き締まっています。丸みの中にある鋭敏さを加味すると、なるほど厳しい表情にも見えます。
また、見る角度によっても変わってきます。
まず、下から見ると。

下から見ると
伏し目がちに見えた目の眼球が大きく見えるため、ピタッと目が合ったような感覚になります。
次に右から見てみます。

右から見ると
右頬の少し欠けた窪みやほんのりさした赤みから、温かみのある表情に見えます。
では、左から見ると。

左から見ると
黒目が中心へ寄って見え、隣の阿閦如来様にも通ずるような集中力を感じさせられます。顎のラインより長い福耳も目立ちます。
最後に、左斜め下から見ると。整然とした中にもクールな表情に?

左下から見ると
私たちは、救いを求めて・願いが成就するように・人生を見つめ直すために、など様々な想いを携えて仏様に向かい合うものです。目の前の仏様のお顔には、そうした私たちの心の有り様も映し出されているのかもしれません。
みなさまがご覧になった大日如来様はどんな表情をたたえていましたか?