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国宝臼杵石仏公式ブログ

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苔生す岩肌、昨年の紫外線照射の効果は?

苔生す参道

苔生す参道

 蝉しぐれが響く、雨も度々降りすっかり苔生してきました。

 石仏表面は、参道の岩肌と同じ材質です。阿蘇溶結凝灰岩といって、9万年前阿蘇山が噴火した際、流れてきた火砕流が冷えて固まってできています。水分を多く含む柔らかい岩肌。

苔の茂った参道は、侘びさびも感じられ風情があるのですが、仏体には天敵です。表面を侵食して仏体を欠損させてしまうのです。

 これらの影響を抑えるため、臼杵石仏では毎年秋から冬にかけて岩に無害な紫外線を照射し、付着した植物を枯らして除去しております。

 

紫外線照射の様子

紫外線照射の様子

昨年度、古園石仏群では向かって左半分に紫外線を照射しました。
右半分と比べてみると、違いがよく分かります。

昨年紫外線を照射した左半分の現在

昨年紫外線を照射した左半分の現在

苔の着生が少なく、まだまだセーフといったところ。
右半分の仏様たちは、緑の部分が増えています。今年はしっかり焼いてもらいましょうね。

向かって右側の仏様は苔の着生が進んでいます

向かって右側の仏様は苔の着生が進んでいます

無量寿如来さまから多聞天さんまで、もうしばらく耐えて下さい。

 

「ガイドさんと行く石仏巡り 極楽浄土体感編」が開催されました

お薦めの角度から見る阿弥陀三尊像

お薦めの角度から見る阿弥陀三尊像

先日、臼杵石仏ボランティアガイドさんが、夏の石仏を案内するツアーが開催されました。

 

涼しい朝のうちにスタートし、数人のガイドさんがオリジナリティを出しながら楽しい説明でご案内しました。お勧めの角度から阿弥陀三尊像(極楽浄土を表すホキ石仏第2群第1龕)を観るなど、話を聞くと様々な楽しみ方ができますね。

 蓮畑もちょうど見頃を迎え、ふんわり開いた花たちがご一行を迎えてくれましたよ。
泥の中に生命を受けつつ、泥に染まらず清らかな花を咲かせる花。煩悩を克服し悟りを開く姿を連想させることから「極楽浄土に咲く花」とされています。

 生きていると様々な苦しみや悩みに苛まれますが、あまり捉われずに清々しく在りたいものです、蓮のように。
夏の臼杵石仏がみなさまのお心に、爽やかな一風を吹かせることを願っています。
蓮

(あなたの選ぶ)閻魔大王に託してみよう六道輪廻

 

真夏の裁判、閻魔大王はどなた?

真夏の裁判、閻魔大王はどなた?

暑い日が続きますね。

地獄の裁判を表すホキ石仏第1群地蔵十王像では、本日も熱い法廷が開かれている様子。
仏教では私たちは生死を繰り返しながら六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)を彷徨い続けるとされます。これを六道輪廻といい、極楽浄土へ行く者だけがこのループを抜けることができます。

六道輪廻

六道輪廻

これらの決定は、死後七日ごとに開かれる裁判で下されます。
初七日や四十九日の法要という仏事はお馴染みですね。
裁くのは10人の裁判官、十王さまです。

中でも重要なのが、5回目に登場する閻魔大王。六道のどこに生まれ変わるかを決定するからです。

とすると、閻魔大王はどなたか気になるところです。臼杵石仏では十王の各名称が分かっていないので、見る人の直感に委ねるとしましょう。みなさま、次はどこへ生まれ変わりたいですか?あなたのみなす閻魔様に今のうちに託しておきましょう。

もちろん地獄行きの免罪を受けたい方は、地蔵菩薩へ。

地獄行きの免罪を受けたい方はこちら

地獄行きの免罪を受けたい方はこちら

真夏の参道、一部の熱いもみじが紅葉

真夏の参道、一部の熱いもみじが紅葉

 

タイサンボクの花びらプレート&ハートの進化形

散って乾燥したタイサンボクの花

散って乾燥したタイサンボクの花

 先日、お釈迦様の歯?のような白い花が咲いた、とお伝えしたタイサンボク。早くも花は散ってしまいました。連日の猛暑でカラカラに乾いていきます。これがなかなかいい味を出しているのです。
東南アジアの雑貨にありそうな、舟形のお皿のような。

 今朝は雨に濡れ半生の花びら、南国っぽい甘い香りがします。タイサンボクの芳しさは古くから珍重されているようで、香水にも使われているそうです。

 すっかり参道に馴染んでいるタイサンボク、姉妹都市キャンディーの町ではどんな表情をみせているのでしょうか?
さて、古園石仏に移動し公園を見渡すと、緑のハートが2重になっていました!内側の草刈りをしたのでしょうか?今だけの景色がここにもあります。古園13仏も「これまた初の浄土庭園風景ですな」なんておっしゃられているかもしれません。

進化形緑のハートが見える浄土庭園?

進化形緑のハートが見える浄土庭園?

お釈迦様の菩提樹ではないけれど、敦煌と臼杵をつなぐ菩提樹

 

事務所前の菩提樹

事務所前の菩提樹

6月になると、事務所前の菩提樹の木が白い小さな花を付けます。今は花が終わり、お数珠のような小さな実が揺れています。

お数珠の様な実

お数珠の様な実

この木は、1994927日に敦煌市と臼杵市の友好都市調印記念に植樹されました。
敦煌市は中国北西部に位置し、シルクロードの交通の要衝として栄えたオアシス都市。仏教文化も独自の発展を遂げ、多くの仏教遺跡があります。その代表格が莫高窟。岩壁に連なる洞窟には、約2400体の塑像(粘土で造られた仏像)が現存するという壮大さです。

臼杵石仏も古園石仏群の仏像下半身は粘土層であり、そこに岩をはめ込んで造られています。石仏と塑像の違いはあれど、少し共通点もありそう。

 さて、お釈迦様がこの下で悟りを開いたという菩提樹。しかし、中国では生育に適さないため、葉の形がよく似たシナノキ科の別の木を菩提樹と伝えたそうです。

石仏にあるのも、もちろん中国から渡って来たシナノキ科の菩提樹。
敦煌との友好の木という点では、この方が道理に適っていますね。

 仏教はインドからシルクロードを経て中国・日本に伝来する過程で変容していきます。菩提樹のように。

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