新緑の石仏から~山王山石仏との有り難い連帯感
桜が終わりかけ、と言っていたら被さるように新緑の季節がやって来ました。
参道の木々は眩しいほどの緑。
石段を明るく照らすシャガの花、見る度に薄紫の茂みが広がっていくようです。
山王山の高台に立つと静けさ漂い、山鳥のさえずりが響き渡ります。
背後の釈迦如来さまもこの光景を愉しんでいるのだろうな、という有り難い連帯感がを抱いたり。
古園石仏から石仏公園を眺めると、田んぼに田を耕す耕運機の姿が見えました。
来月には田植えが始まるのでしょう。
今年も五穀豊穣をお願いします、如来・菩薩・明王・天部が勢ぞろいした古園13仏のみなさま!
春の陽気と最後の桜
春の陽気に誘われて、石仏公園を散策する方の姿が見られる本日の石仏公園。
早くも葉桜に変わった桜ですが、まだピンクの花びらを付けた木があります。
大きく枝葉を垂らした枝垂れ桜。この春最後の桜です。
桜を楽しみに来られた海外のお客様にも「まだ間に合った」、と嬉しい遅咲きの桜になっていることでしょう。
仏と桜、同じ空間になくとも脳裏に残った風景が重なり合い、春の石仏風景として心に残るものです。
みなさま、GW前、新緑その少し前の静かな石仏を散策してみませんか?
お釈迦様の生まれた季節
4/8はお釈迦様の誕生日でした。 石仏を訪れるお客様の中にも話題にされる方がいらっしゃいました。
さて、臼杵石仏には数体の釈迦如来像がございます。
今回は、ホキ石仏第1群の3名のお釈迦様をご紹介します。
まず、第1龕の真ん中の方。
お顔が欠けているにも関わらず、少し上を向いた静かな表情が印象的です。
次に、第2龕の向かって右の方。
鼻筋が通り、目は切れ長、頬や口元の彩色もよく留まっています。
臼杵石仏屈指の傑作と評される阿弥陀如来像の隣とあって、あまり目立ちませんが個別に見ると美しい仏様です。
最後に第3龕の向かって右の方。
円らな瞳が可愛らしい阿弥陀様。小さいながら整った石仏です。
参道には、ようやく散り始めた桜が舞い、足下にもたんぽぽやムスカリなど春の草花が楽し気に咲いていました。
お釈迦様の誕生日に催される仏事を「花まつり」と呼ぶのも、春の花が咲き揃う季節から来ているのでしょうね。
みなさま、春うららかな石仏でお釈迦様めぐりを愉しんでみませんか?
菜の花&河津桜が美しい、春のお彼岸
昨日までの寒さも去り、臼杵石仏ではうららかな春分の日を迎えております。
今年の春のお彼岸は、3月17日(月)~23日(日)です。
昼と夜の時間が等しくなるとされる春分・秋分の日には、ホキ石仏第2群第2龕(九品弥陀)の真ん中の阿弥陀如来さまの額に朝陽が射す、という現象がみられます。
この日は、太陽が真東から上り真西に沈むとされ、太陽の軌跡を人生になぞらえると此岸と彼岸を結ぶ直線が最短距離となり、この世とあの世が最も近づく日とされます。
臼杵石仏で最も西に位置するホキ石仏第2群は、彼岸の中でも真西に位置するため、ここの阿弥陀様の額にまず朝日が射すのでしょう。因みに、向かいの満月寺方面が東にあたり、その間にある石仏公園には昔、三途の川に当たる池がありました。
こうした構造を「浄土庭園」といいますが、京都には臼杵石仏が造られたとされる平安時代後期に多数見られたそうです。
現存するものは、浄瑠璃寺だけとなりましたが。ここにも立派な九品仏がいらっしゃいます。
さて、石仏の斜面を黄色く染める菜の花も咲き広がってきました。
国道沿いの河津桜も見頃が続いております。
気温の変化に上気する仏様と冷静な愛の仏様&柵の外にも供養塔
このところの寒波が緩み、石仏は暖かな曇り空が広がっています。
気温と湿度が急に上がると、石仏の元々の色がよく浮かび上がります。
気温の変化に岩肌は敏感です。
ホキ石仏第1群第2龕の如来様方がとりわけ鮮やかに見えました。
バレンタインデーも近いことから、「愛染明王」様が色付いてを期待したのですが、こちらは普段とあまり変わりません。
場所によって、発色の条件が異なるのでしょうね。
さて、「愛染明王」坐像は、蓮の台座に座り弓と矢を持っています。
このことから、愛のキューピットと言われるのですが、この矢の行く手は「自分自身の心」なのです。「誰かのハート」ではなく。
煩悩の中でも最も厄介な「愛欲」。
溺れてしまうと、本来精進すべき事柄がおろそかになってしまい、人生を踏み外してしまうかもしれません。
そうならない為にも、恋をしたら愛染明王さまに一矢放ってもらいましょう!
本当は厳しい愛の仏様「愛染明王」。
ちょっと気温が上がってくらいでは、冷静さを失わないわけです。
さて、ホキ石仏第1群の柵の外には、岩に刻まれた供養塔がひっそりと並んでいます。
こちらは気温に少し反応しているようで、今日はくっきり見えます。
仏像のようにも五輪塔のようにも見える供養塔。
制作年代は、4龕の地蔵十王像と同じ鎌倉期と考えられています。
いろいろな仏様に注目して歩くと、石仏散策も一色濃い時間が過ごせそうですよ。