白い朝、師走の臼杵石仏

白い石仏の朝
このところ、寒い日が続いております。
石仏の里は、今日も白い朝となりました。
霜の降りた田んぼに、霧のかかった橋。
こんもりと紅葉していた石仏公園の唐楓も葉が落ちてきました。
すっかり冬の朝です。
臼杵石仏では、夜間から早朝にかけて石仏群のシャッターを降ろし、温度管理を行っております。低温予報が出される寒い期間は、石仏表面の劣化が進み易く特に注意が必要となります。
さて、今年も残すところ1週間ほどになりました。
静かな年末、みなさまが穏やかにお過ごしになることを仏の里より願っております。

葉の少なくなった唐楓
シャッターが閉まっている石仏
冬本番、最近めっきり冷えてきましたね。
写真はシャッターが閉まった状態の石仏。
国宝臼杵石仏では、石仏表面の凍結防止・霜対策のために外気が0℃を下回る夜間はシャッタ-を閉めて温度管理を行っています。
岩肌が凍ってしまうと、それが解けるときに、岩を一緒に割ったり傷つけたり、国宝の指定を頂いている大事な石仏群にダメージを与えてしまいます。
少しでも石仏を劣化させないよう、今の状態のまま未来へ残していく為に、数年かけて石仏の屋根の改修工事を行い、シャッターを取り付けました。
ここ数日は、朝、太陽が出始めても0℃を上回らないことも多く、時間帯によってはシャッターが閉まったままの状態で石仏を見学して頂く場合もあります。
写真の状態の石仏群はとてもレアです。
シャッターが閉まっている場合は、案内表示をしていますので、その指示に従ってドアを開けて中に入ってご見学ください。
外の景色が完全に遮断され、なんとも不思議な気分。
美術館の中にいるような、普段とはまた違った雰囲気を味わえます。
営業時間を短縮している期間の朝8:30~9:00頃まではこの状態の石仏を見学できますので、お時間がありましたら、是非違った雰囲気の石仏を見にお越しくださいね。
金剛力士像がきれいになりました
かわいそうなくらいに蔦が巻き付いていた金剛力士像が、やっとすっきりきれいになりました。
今月9日から文化財保存活用研究所の方々が剪定作業を行ってくれていました。
やはり国宝ともなると、ただただ「草を取る」という作業も一苦労。
脚立を立てかけて手で引っこ抜く!など簡単にはいきません。
関係者・関係部署と協議し、早くからスケージュールを組んで鉄筋の足場を組み、岩肌を傷つけないように時間をかけて丁寧に進めていきます。
今日やっとその作業も終わり、久しぶりにきれいな姿の金剛力士像を見ることができました。
冷たい岩にじっとくっついて作業をするのもとても寒くて大変です。いつもありがとうございます!
心なしか金剛力士像もなんだか嬉しそうに見えます。笑
蔦を取る前のBEFORE写真↓
蔦を取った後のAFTER写真↓
何という鳥か分かりますか?
石仏入口周辺にここ最近、小さなかわいい鳥が遊びに来てくれています。
写真は今朝9時頃です。
おなかの部分はオレンジで、石垣の苔と同化していて、わざわざ見なければ気が付かないような大きさです。川に泳いでいるハヤという魚を狙っているようです。
この鳥はカワセミといい、鮮やかな青い背中とおなかのオレンジ、長いくちばしが特徴で、きれいな水辺に生息すると言われています。とてもすばしっこくて、水面ギリギリを飛び、シャッターチャンスが難しい所です。
スマホのズームでは難しいので、望遠レンズカメラをお持ちの方、是非写真を撮りにいらしてください。カワセミが必ずいるとは限りませんが、一日のうちに、何時間も川沿いで魚を狙っています。
タイミングが合えば、素敵な写真が撮れそうですよ♪
保存作業も本番、本除去が行われました

本除去の様子
11月28日に紫外線照射と保存作業の様子(中間除去)をお伝えしましたが、今週、いよいよ「本除去」に入りました。
「本除去」とは、岩肌の深い部分に残る着生物を取り除く作業です。
これは、前回の「中間除去」(第1回目の紫外線照射と除去)により、石仏表面の苔類等を除去した後、2回目の紫外線照射により深部にまで伸びた部分を枯らし、より慎重に付着物を取り除く作業となります。
作業の様子を見ると、前回は茶褐色や深緑色の部分がありましたが、乾燥して白っぽい岩肌に変化していることが分かります。

本除去

中間除去
この後、苔類等の再着生を遅らせるために「撥水剤」を塗り込み、本年度の作業は終了となります。
寒い中、一日中岩肌の傍で白い息を吐きながら作業をされるのは、大変なことだと思います。作業をされるみなさまには、大変感謝しております。ありがとうございます。風邪を引きませんように、石仏とともに祈っております!

12月に入り、紅く染まった紅葉