雨の日の観音菩薩像巡り
冷たい雨の石仏。
ホキ石仏第2群の観音菩薩のお顔が一色濃く感じられます。
観音菩薩は、阿弥陀如来の慈悲の心を表すとされる仏様。
観世音菩薩とも言い、字のごとく、世の中の人々の苦しみや悩みの声(音)を聴き(観る)、見守ってくれる、という優しい仏様です。
臼杵石仏には、数体の観音菩薩像がございます。
まず、ご紹介するのは、代表的な観音菩薩立像である、ホキ石仏第2群第1龕、向かって右の仏様。形をきれいに留め、お顔の表情や手にする蓮の花からも、慈しみの仏様の風情が感じられます。
次は、ホキ石仏第1群第1龕の向かって右の立像。
隣の愛染明王に視線が行き、見逃してしまうことも多いのではないでしょうか?
お顔の下の部分は欠けていますが、宝冠と優しい目元をじっと見ていると、「観音菩薩ここに在り」と、視界の中で目立ってくるようです。
続いてホキ石仏第1群第3龕の向かって右。
こちらは、上半身の右半分が大きく欠けています。ただ、袈裟の赤い色をよく留めており、本来は美しい装飾をまとった姿であったことが想像できます。色と言えば、隣の第4龕「地蔵十王像」の鮮やかさが有名ですが、この観音菩薩像の赤も負けてはいません。
最後に、古園石仏群の観音菩薩像。向かって右から3番目。
よく似た背格好の菩薩・如来像が並んでいますが、隣の普賢菩薩と比べてみると、目の表情が異なる印象を受けます。寄り目の普賢菩薩に対して、静かに視線を落としているように見えます。優しく世の声を聞いているこの姿は、やはり観音菩薩像らしく見えます。
続く雨音、観音菩薩様も聞いているのでしょうか?こんな石仏巡りも味わい深いものです。
造営当時の色
あいにくの雨ですが、久々の雨は恵みの雨でもありますね。
条件がそろわないと見られない濃く鮮やかな造営当時の色、今日も見ることができました。
阿蘇凝灰岩でできた磨崖仏表面は、他の岩よりも乾きやすく、特に冬場は乾燥している為、普段はかなり白っぽく見えます。
この濃い赤や黄色は雨が降れば必ず見られるというわけでもなく、気温や湿度など、様々な偶然が重なり浮き出てくる、造営当時の色彩です。
普段は晴れた日の石仏を見る方が多いかと思います。
臼杵市は二王座歴史の道の石畳など、雨が似合う町でもあります。
雨の日の石仏、是非お越しくださいね!
愛染明王もきれいにくっきり浮き出ていましたよ!
今は石仏入口、昔は神社入口~深田の鳥居
長閑な田園風景が続く国道に、ふと現れる「深田の鳥居」。臼杵石仏に入口の目印でもあります。
石仏と同じ凝灰岩でできており、この場所によく馴染む風合い。
元々は、山王山石仏の上にある「日吉神社」の鳥居であったと考えられています。
といいますのも、上部にある横向きの2本の笠木を支える部分(額束「がくづか」)に「○王」という文字が刻まれているのです(日吉神社の別名は「山王社」)。
また、日吉神社の建立時期は石仏群の最後の方と重なっているとみられています。
ここから神社までは遠い様に思われますが、そもそも鳥居とはいくつもあるもの。
日吉神社の鳥居も、山王山石仏の横や神社のすぐ傍にもございます。
現在の様に、国道も参道も石仏群も整備されていなかった時代、まずこの大きな石の鳥居を目印にして、神社へと進んでいったのでしょう。
今の歩道を渡り歩くより、直線で山道を進むと案外距離も短かかったのかもしれませんね。
現在でも、地域のみなさまの暮らしに密着した活気ある日吉神社。
冬枯れの田んぼに立ち、古い石の鳥居に触れていると、石仏群がこの地域の中の在り続けてきたことがしみじみと感じられるものです。
ひなたぼっこ
年末から寒い日が続いていましたが、今日は久々の青空、お天気です。
風もなく、外の方が暖かくてお散歩日和ですね。
満月寺ではネコちゃんもひなたぼっこをしていましたよ!
たまたま居合わせたお客様も
「お昼寝の邪魔をしてごめんね~」
と言いながらお賽銭をあげていました。
ほのぼのしたとってもいい雰囲気でした^^
成人の日に、深田のアオ杉を仰ぎ見て
今日は成人の日。
新成人のみなさま、おめでとうございます。
今年は、成人式も中止やリモート開催など、例年とは異なる運びとなっておりますが、どの様な記念日をお過ごしでしょうか?
臼杵石仏にも、数名の新成人の方がお越しになりました。
寒空の下、石仏に二十歳の誓いを立て晴れやかに歩く姿は、清々しく応援したくなるものです。
さて、そんなみなさまにぜひご覧いただきたい木があります。
「深田のアオ杉」という樹齢約600年、標高22m、周囲5.2mの大木。
満月寺の先にあり、市指定の天然記念物でもあります。
その大きさは、数字より写真より、真下に立ってこそ実感できるもの。
また、炭焼き小五郎の妻玉津姫がかんざしとして都から刺してきた杉の枝を挿して根付いた、という伝説付で何とも臼杵らしさが漂っているよう。
大木を仰ぎ見た後は、満月寺横の鐘を撞いてみてはいかがでしょう。
石仏中に響き渡る鐘の音は、突く者の心に深くこだまするように聞こえるものです。
二十歳の記念に石仏でのひと時を過ごしてみませんか?
みなさまが、自分の在るべき地に根ざし、高い志と寛容な心をこのアオ杉の様に大空に伸ばしていかれることを、仏の里より願っております!