臼杵石仏?臼杵磨崖仏?正しいのはどっち?
臼杵市民の方には「臼杵石仏」として有名な、臼杵の大事な国の宝。
全国各地から来られるお客様の中には「臼杵磨崖仏を見に来ました」とおっしゃる方も非常に多いです。
「臼杵石仏」とインターネットで調べてみても、wikipediaには「臼杵磨崖仏」と出てきて、何がなんだかさっぱり。
臼杵石仏と臼杵磨崖仏…。
みなさんはこの違い、分かりますか?
臼杵市民・大分県民の方は、身近にあるからこそ気にしたことがない、という方が多いのではないでしょうか?
果たしてどちらが正しいのでしょう?
正解は…
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どちらも正しい!です。
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まず名詞としての「石仏」と「磨崖仏」の違いから。
石仏(せきぶつ)とは、漢字の通り「石に彫られた仏像」のことで、古くから僧侶や権力者によって石や岩を彫り、様々なところでつくられてきました。
石に彫られた仏像であれば、サイズや形など特に決まりもなく、広い範囲で石仏と呼ばれています。
彫った仏像を祀ってお参りしたり、信仰の為にお寺や神社など、昔から人の集まるところに設置されることが多いようです。
日本人にはお馴染みの「お地蔵さん」もこの石仏の一種です。
臼杵石仏蓮畑にある、笑顔が素敵なこちら↑の仏像は、どこかで彫られたのちにここに設置されています。
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一方、磨崖仏(まがいぶつ)とは、自然界にある岩壁や崖に直接彫り込まれた仏像を指します。
自然界にあるため、屋根や囲いで保護することはありますが、基本的には屋外に彫られています。
さらに、仏像の背面は岩壁にくっついているため、その場所から動かすことはできません。
誰が何のために彫ったのかが分からないことが多いのですが、数人から数百人の僧侶などが雨風に打たれながら、修行のために彫ったとされることが一般的なようです。
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石仏と磨崖仏の違いが分かったところで、臼杵の石仏を見てみましょう。
臼杵石仏は自然界の岩壁に彫られていますので、動かすことはできません。
よって必然的に磨崖仏となります。
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それでは続いて、臼杵石仏と臼杵磨崖仏についてです。
上にも書きましたが、呼び方としてはどちらも正解です。
但し、違いはあります。
臼杵石仏は観光施設として、周辺の土地などもすべて含んだ名称で、臼杵磨崖仏は国宝として文化庁に登録されている、仏像を指す名称となります。
文化庁への登録は、
【名称】
臼杵磨崖仏(うすきまがいぶつ)
【文化財部類】
国宝・重要文化財(美術品)
【分類】
彫刻
【指定番号】
121
という分類で登録されています。
国宝登録は、壁に彫られた61体の仏像本体のみです。
もしお時間があったら、文化庁のページで国宝などを検索してみるとおもしろいかもしれませんよ^^
第3のハート

いくつのハートが見えますか?
石仏公園にはいくつかのハートが描かれています。
古園石仏から見渡すと見えるのですが、いくつ見えますか?
正解は3つ。
従来の「ハートの小径」と「緑のハート」に加え、最近第3のハートが仲間入りしました。「茶色のハート」。
左方向にある「う」の隣です。

「う」の隣に茶色のハート
初めに造られた「ハートの小径」は最も大きいのですが横を向いており、「う♡プロジェクト」をご存じない方には、意外と見えてこないようでした。
2番目の「緑のハート」は色が鮮やかなことと、縦向きなこと等から発見率は高め。
第3のハートの運命は如何に?
さて、蝉時雨に混じる虫の声がだんだん濃厚になってきました。
照り付ける日差しは強いけれど、見上げると青く高く澄んだ空が広がっています。

空は高く澄んできました
足下には朱い彼岸花。

可愛らしく咲く彼岸花
8月もあとわずか。
今年も火まつりはありませんが、石仏には秋は近付いてきております。
お盆に観る三世仏パラドックス

ホキ石仏第1群第1龕、左から薬師如来(過去仏)・釈迦如来(現世仏)・阿弥陀如来(未来仏)
今年もお盆がやってきました。
ご先祖様や親しかった故人を忍び、あの世での冥福を祈る大切な時間。
みなさま、どのように過ごされていますか?
仏教では、ご先祖様がいる世界(亡くなった後の世界)は、「未来」とされます。
今、生きている世界が現在。生まれる前は過去。
そして、「過去」・「現在」・「未来」に対応する仏様を「三世仏」といいます。過去仏を「阿弥陀如来」、現世仏を「釈迦如来」、未来仏を「弥勒菩薩」とするのが代表的なパターンです。
しかし、弥勒菩薩がいない場合は、過去仏を「薬師如来」、現世仏を「釈迦如来」、未来仏を「阿弥陀如来」とするなど、様々な組み合わせがみられます。
臼杵石仏では、ホキ石仏第1群に同じ高さの如来像が3体並ぶ「如来三尊像」という形式が見られます。「三世仏」を思い描きながら観るのにふさわしい場所です。
第1龕では向かって左から過去仏の薬師如来像、続いて現世仏の釈迦如来像、右に未来仏の阿弥陀如来像、とちょうど時間軸に沿って仏様を見ることができます。
懐かしい故人を想う時、何となく過ぎ去った「過去」をイメージしますが、その故人は未来である死後の世界(極楽浄土)にいる・・・、不思議な感覚です。
未来仏(阿弥陀如来様)の前に立ち、現世にいる者が過去に生きた人の冥福を祈る、ということ。
お盆の三世仏パラドックス?でしょうか?
美仏総選挙、大大大好評です!
8/1から「美仏総選挙2021」が始まって2週間が経とうとしています。
まだ2週間!なのに、すごい反響です!
窓口で投票用紙をお渡しするのですが、
「テレビで見ました!投票するために来ました!」
「ネットで見て、おもしろいなと思って来ました!」
など、投票するために石仏に来た、という方が多く、イベントへの関心度が伺えます。
知らずに来られた方からも「おもしろいですね!」「いいイベントですね!」という声をたくさん頂き、とても嬉しく思います。
本当にありがとうございます!
みなさんはもう投票しましたか?
ここで、このイベントを企画・運営している観光協会の方から聞いた、へぇ~!というお話を紹介しますね!
それはズバリ【WEB投票と現地投票で推し仏の得票数に違いがある】ということ!
この選挙の投票方法は、WEBと現地の2種類があります。
WEB投票では、北海道から沖縄まで、全国各地から投票して頂いています。
SNSでもすごく話題になっているようで驚いています!
「この選挙で臼杵石仏の事を知って、臼杵石仏へ行きたくなりました」
など書いて下さる方もいて、とても嬉しいです。
WEBで投票される方は、インターネット上でそれぞれのポスター画像しか見ることができません。
なので自ずと、仏様のお顔立ちや、公約の内容などで選ぶようになります。
一方現地投票では、実際に臼杵石仏で、それぞれの仏様を見て投票をします。
お顔や公約はもちろんですが、仏様がいる場所やサイズ感、さらに現地でしか知ることができないプラス情報などを読んで、全体を見てじっくり考えて選んでいる方が多いようです。
どの仏様がどのくらいの票…というのは観光協会の中間発表もあるので、そちらを楽しみにして頂くことにして…
WEBで得票数の多い仏様が、現地投票ではそうでなかったり…と、今のところ私達スタッフも興味深い内容となっています^^
「俺の守護仏は大日如来やけん、誰が何と言おうと大日如来坐像に投票するで!」
とおっしゃる方もいましたよ^^
お顔・公約・実際の仏様を見た印象・サイズ感・ご自分の守護仏が立候補されている方はそちらの方も考慮しながら、是非お気に入りの仏様を見つけて投票してくださいね!
開催期間は10/31までです!
蓮畑の隣では
この時期、日本各地のお寺や公園などで蓮景色が愉しめることと思います。
蓮の花は仏様の花とされ、臼杵石仏でも蓮を手にした観音菩薩像や蓮の台座に座った愛染明王像が見られます。
石仏群を廻った後に蓮畑に立つと、この花と仏教との繋がりを改めて感じさせられるものです。
振り返ると青々とした水田が広がり、この地に仏と共に在り続ける人々営みを間近に見る想いがします。
この風景が毎年続いていきますように!(遠く古園石仏群を見上げながら)