背中を伸ばして視界を広く~深田のアオ杉
寒波が居座る今週、参道から公園へと足を延ばしても背中は縮こまったまま、なかなか温かくはなりません。
さて、そんな中で眺める深田のアオ杉。
満月寺の前の道を少し進んだところに立っています。
大木なだけに、近付くほど下から上まで見るのは難しくなります。寒さの中ではますます視界も狭くなったり。
近づいてゆっくりじっくり見ると、いつもより細かい部分がよく見えるものです。太い幹、大きく伸びた枝、艶やかな樹皮。古い大木の風合いが間近に感じられます。
そうはいっても、やはり全体像も見ようと後ろ歩きで離れて行ってみました。5メートルほど後ずさったところで、やっとてっぺんが見えてきました。
雄々しい枝葉の合い間からやっと見える空の青さ。樹齢600年の標高22m、周囲5.2m、市指定の天然記念物というこの大木の迫力に改めて気付かされるものです。
視界を広く大きく持つことで、物事の全体像を見ようと心がけることも必要、そんなことを考えさせられる冬のアオ杉でした。
寒い日だけの、館内磨崖仏
寒波の真っ最中ですが、石仏は通常営業しております。
さて、仏体表面の凍結防止のため、シャッターを降ろして状態で温度管理を行っております。
本日は、終日シャッターの降りた状態での観覧となります。
シャッター内は、静かで落ち付いた雰囲気が漂います。風の音や鳥の声といった自然の気配がなりを潜め、石仏と観る者だけの空間。
太陽光が入らないせいか、背中の部分や側面がよく見えいつもより立体的に感じられます。
まるで、美術館の中で石仏と向かい合っているようです。
みなさま、寒い日だけの自然の岩の中にありながらの館内磨崖仏、機会がありましたら体験してみませんか?
紫外線照射部分から考える頭の復位の意味

紫外線は仏体下に当てられる
今週、ホキ石仏第2群第1龕で紫外線照射が始まりました。
11月から行っていた古園石仏群(向かって右側)の一連のクリーニング作業も年内に無事終わり、今回は本年度第2弾となります。
2週間ほど照射し表層部の着生生物を枯らし、刷毛などできれいに取り払います(中間除去作業)。その後、再度照射を行いもう少し深い部分を枯らし、除去していきます(本除去)。
画像をご覧いただくと、紫外線は仏体の下半身に当てられていることが分かると思います。
水分は上から下へ流れるため、湿気も下にいくほど溜まり易く、苔も多くなるためです。
古園石仏群の大日如来像の頭も地面に落下していたままの状態が続いていたら、同じ様に着生生物による損傷が進んでいたことでしょう。
高い位置に上げて劣化を防いだ、という点でも頭の復位は意義深い出来事だったと実感されられます。

下方に置かれたままでは劣化が進んだことでしょう
朝の気温、一番早く上がるのはどの群でしょう?
仏体表面の損傷を招く一番の要因は、冬場の凍結です。それを防ぐため、夜間は各群シャッターを降ろし温度管理を行っております。
朝も、一定の温度に上がるまでシャッターは降ろされたままとなります。観覧時間は定刻通り9時からですのでご安心下さい(入り口を設けておりますので)。
落ち着いた空間での鑑賞もなかなかいいものですよ。
この間、各群に設置された温度計を観察しながらシャッターを開けるタイミングを見計らいます。
一斉に上がればいいのですが、気温の上がり方は群ごとにまちまちなのです。
さて、問題です。どこが一番早く上がると思いますか?(山王山はシャッターがないため、ホキ石仏第2群・1群・古園石仏群の3択です)
仏様に状況をお尋ねしてみましょう。
ホキ2群九品弥陀の阿弥陀如来様
「私たちは、ずらりと近い距離間隔で並んでいますので、温かいですよ。それにフットワークが軽いですから」。
ホキ石仏第1群第3龕の小さな大日如来様
「私は、美仏内閣の総理です。総理官邸では朝から議論が白熱していますよ。ホットですね。お隣の官房長官(第2龕阿弥陀如来様)は24時間美しい色気を発しておりますし。」
古園石仏群の阿閦如来様
「ここは、4つ全ての位の仏が揃う立体曼荼羅を表すとも言われる空間です。菩提心や悟りの力で満ち溢れております。気温の上がり方もそりゃあ早いものです。因みに私は物事に動じない強い心を授ける仏。少ししかめ面をしているのも、常に集中力を発しているから。小さいけど強い力を発していますよ。」
みなさまのお考えは如何に?
正解は(ほとんどの場合)
1番:古園石仏群、2番:ホキ石仏第1群、3番ホキ石仏第2群
今朝も古園石仏群は2度ありましたが、ホキ石仏第2群は0度しかありませんでした。
岩肌という自然と調和して在り続ける仏像であることをあらためて実感させられるものです。
暖かな雨に輝ける裁判~色の出方は様々
1/13の様子です。 突然の暖かな雨に、石仏はよく発色しております。午前中はそれほどでもなかったのですが、夕方は鮮やかな仏があちこちで見られました。
さて、地蔵十王像も黒く朱く染まり、何だか賑やかな裁判が行われているようです。
よく見ると、十王様の色の出方は十人十色?
白っぽいままのお顔もあれば、黒っぽく艶やかな方もいます。
ゆったりと着こなす道服も、黄色がはっきり出ている方からほとんど黒服の方まで様々です。
この龕が鮮やかに発色するのは、岩が硬質であるからです。水分の吸収率が低く風化が遅れたのでしょう。造立当時は「黒・白・黄・赤・緑」の5色が施され、またそれらを混合させて金色や橙色を模した色も付けられていたとか。
こんな日は遥か昔の石仏を想像したくなります。