タイサンボクの白い花~キャンディー市との姉妹都市提携から58年
六月になると大輪の白い花を咲かせ、参道を行く人々の目を惹きつけるタイサンボクの木。参道入口からホキ石仏第2群に向かう道沿いにあります。
この木は、1967年に臼杵市とスリランカ(当時はセイロン)中部の仏教都市キャンディー市が姉妹都市提携をした際の記念に植樹されました。今年で58年目、大きく育っています。
空を向いて咲くので下からの姿しか見えませんが、強い陽射しに眩しく映る白い花びらには独特の存在感があります。

キャンディー市を代表する寺院「仏歯寺」にはお釈迦様の歯が祀られているそうです。そんなことを想いながら石仏を巡ると、お釈迦様が笑顔で迎えてくれるような気がしてきます。ほのかな甘い香りも何だかエキゾチックに感じられます。
6月の鮮やかな石仏
雨模様が続き、岩にも水分が浸透しているようです。
朝から湿度も気温も高く、石仏の発色が期待できそうな気配が漂っていました。
さて、一番の発色スポットホキ1群の後半2龕を除いてみると。
流れるような黒、赤が目に映ります。

地蔵十王像の中心に座る地蔵菩薩の下半身にかかる裳懸座が揺れる様に赤々と見えます。
この赤は、酸化鉄を原料とするベンガラの赤です。
少し暗さのある野趣の感じられる風合いは、自然の中にある臼杵石仏に相応しい色だと感じられます。
地獄の裁判も白熱していることでしょう。
みなさま、6月の鮮やかな石仏をご覧になってみませんか?
梅雨入りと蓮畑の眺め
梅雨入りした本日の石仏。
古園石仏から蓮畑を眺めると、ぐんぐん成長している様子が分かります。
大日如来さまもこの光景を「今年も蓮に彩られた極楽浄土の景色を臨めるなあ。」とご覧になっているのかもしれません。

さて、古園石仏を下りると道沿いに紫陽花が並んでいるのですが、こちらも色付き始めました。
色々な種類が隣り合わせに咲くので、数メートルですが梅雨空の石仏散策を明るく締めくくってくれます。



石仏の色めく季節
昨日から気温もぐんぐん上がり、雨模様と相まって石仏がよく発色してきました。
気温と湿度が共に高くなると、仏体に造立当時から施されていた色が濃く浮かび上がってきます。
雨の日は、鮮やかな仏様に会える「石仏日和」でもあります。
目安となるのは、何と言ってもホキ1群の地蔵十王像。
元々、色がよく留まっている場所ですがさらに煌々と明るく色付きます。
十王様の手元がいつになくはっきり見えます。
両手を握っているのは、巻物を持っているからでしょうか。何しろ地獄の裁判中ですから。
調書でしょうか?
臼杵石仏現代史を知る~石仏の今を作った整備と保存の歴史
参道内に新しい看板が3つ加わりました。
昭和30年代から現在に至る整備と修復、保存に関する説明がされています。
石仏の現代の歩みは、文化財としての保存の歴史でもあります。
まず、ホキ2群の手前の看板。これは毎年実施されている仏体表面のクリーニング作業について説明したものです。紫外線を照射して着生生物を除去する行程が写真入りで解説されています。
実際、ホキ2群の9品弥陀を見てみます。ここは、昨年クリーニングを行ったばかりなので、苔などがほとんど生えていません。
ホキ1群へと続く階段沿いに立つ看板には、仏体の凍結に関する説明がされています。
凍結による損傷の写真があり、温度管理の必要性がよく解ります。
最後に登場するのが、古園石仏群の手前の看板です。昭和33年から平成30年にかけての覆屋の変遷や仏体本体の修復についての説明がされています。これは、臼杵石仏がどのような経過を辿ってきて今の姿になったのか、知ることができます。
さて、視線を足下に向けるとキラリと光る赤い実が。野いちごです。
初夏の参道にはあちこちに山野草が見られます。
仏体にとっては脅威となる植物ですが、岩肌に在り続けるためには「共存」していかねばなりません。
平安から続く人々の祈りを静かに聞いてきた石仏。これからも在り続けるために、現代史を知りながら石仏巡りをしてみませんか?











