石仏の色めく季節
昨日から気温もぐんぐん上がり、雨模様と相まって石仏がよく発色してきました。
気温と湿度が共に高くなると、仏体に造立当時から施されていた色が濃く浮かび上がってきます。
雨の日は、鮮やかな仏様に会える「石仏日和」でもあります。
目安となるのは、何と言ってもホキ1群の地蔵十王像。
元々、色がよく留まっている場所ですがさらに煌々と明るく色付きます。
十王様の手元がいつになくはっきり見えます。
両手を握っているのは、巻物を持っているからでしょうか。何しろ地獄の裁判中ですから。
調書でしょうか?
臼杵石仏現代史を知る~石仏の今を作った整備と保存の歴史
参道内に新しい看板が3つ加わりました。
昭和30年代から現在に至る整備と修復、保存に関する説明がされています。
石仏の現代の歩みは、文化財としての保存の歴史でもあります。
まず、ホキ2群の手前の看板。これは毎年実施されている仏体表面のクリーニング作業について説明したものです。紫外線を照射して着生生物を除去する行程が写真入りで解説されています。
実際、ホキ2群の9品弥陀を見てみます。ここは、昨年クリーニングを行ったばかりなので、苔などがほとんど生えていません。
ホキ1群へと続く階段沿いに立つ看板には、仏体の凍結に関する説明がされています。
凍結による損傷の写真があり、温度管理の必要性がよく解ります。
最後に登場するのが、古園石仏群の手前の看板です。昭和33年から平成30年にかけての覆屋の変遷や仏体本体の修復についての説明がされています。これは、臼杵石仏がどのような経過を辿ってきて今の姿になったのか、知ることができます。
さて、視線を足下に向けるとキラリと光る赤い実が。野いちごです。
初夏の参道にはあちこちに山野草が見られます。
仏体にとっては脅威となる植物ですが、岩肌に在り続けるためには「共存」していかねばなりません。
平安から続く人々の祈りを静かに聞いてきた石仏。これからも在り続けるために、現代史を知りながら石仏巡りをしてみませんか?
新緑の石仏から~山王山石仏との有り難い連帯感
桜が終わりかけ、と言っていたら被さるように新緑の季節がやって来ました。
参道の木々は眩しいほどの緑。
石段を明るく照らすシャガの花、見る度に薄紫の茂みが広がっていくようです。
山王山の高台に立つと静けさ漂い、山鳥のさえずりが響き渡ります。
背後の釈迦如来さまもこの光景を愉しんでいるのだろうな、という有り難い連帯感がを抱いたり。
古園石仏から石仏公園を眺めると、田んぼに田を耕す耕運機の姿が見えました。
来月には田植えが始まるのでしょう。
今年も五穀豊穣をお願いします、如来・菩薩・明王・天部が勢ぞろいした古園13仏のみなさま!
春の陽気と最後の桜
春の陽気に誘われて、石仏公園を散策する方の姿が見られる本日の石仏公園。
早くも葉桜に変わった桜ですが、まだピンクの花びらを付けた木があります。
大きく枝葉を垂らした枝垂れ桜。この春最後の桜です。
桜を楽しみに来られた海外のお客様にも「まだ間に合った」、と嬉しい遅咲きの桜になっていることでしょう。
仏と桜、同じ空間になくとも脳裏に残った風景が重なり合い、春の石仏風景として心に残るものです。
みなさま、GW前、新緑その少し前の静かな石仏を散策してみませんか?
お釈迦様の生まれた季節
4/8はお釈迦様の誕生日でした。 石仏を訪れるお客様の中にも話題にされる方がいらっしゃいました。
さて、臼杵石仏には数体の釈迦如来像がございます。
今回は、ホキ石仏第1群の3名のお釈迦様をご紹介します。
まず、第1龕の真ん中の方。
お顔が欠けているにも関わらず、少し上を向いた静かな表情が印象的です。
次に、第2龕の向かって右の方。
鼻筋が通り、目は切れ長、頬や口元の彩色もよく留まっています。
臼杵石仏屈指の傑作と評される阿弥陀如来像の隣とあって、あまり目立ちませんが個別に見ると美しい仏様です。
最後に第3龕の向かって右の方。
円らな瞳が可愛らしい阿弥陀様。小さいながら整った石仏です。
参道には、ようやく散り始めた桜が舞い、足下にもたんぽぽやムスカリなど春の草花が楽し気に咲いていました。
お釈迦様の誕生日に催される仏事を「花まつり」と呼ぶのも、春の花が咲き揃う季節から来ているのでしょうね。
みなさま、春うららかな石仏でお釈迦様めぐりを愉しんでみませんか?