彫り出せないなら、はめ込もう!仏師たちの智慧
古園石仏群は、他の群とは構造が少し異なっています。
仏体の下半身を見ると、色が黒っぽく見えます。これは、粘土層です。
岩のように硬くないため、仏体を立体的に掘り出すことができません。
ではどうしたのでしょうか?
下半身部分の型に合わせた岩を周辺部分の岩壁から掘り抜き、柔らかい粘土層に埋め込んでいったと考えられています。
古園入口に彫られた金剛力士立像も下の方は褐色や黒っぽく見えますが、やはり粘土層のようです。このラインを延ばせば、古園石仏群の仏体下半身部分に重なりそうです。
ひと言に「磨崖仏」と言っても、「岩に彫り出す」と「岩にはめ込む」は逆の発想です。
これも、「岩」という天然のキャンバスに仏を表現するための、素晴らしいアイディア。
都から来た仏師たち、木彫りのようにはいかないこの地で知恵を出し合ったことでしょう。勢至菩薩様を始め、智慧を授けてくれる仏様のお力添えもあったのかもしれませんね。
笑う十王様と冷静なお地蔵様
地獄の裁判を表現しているとされる「地蔵十王像」(ホキ石仏第1群第4龕)。鎌倉時代に制作され、石仏群の中でも最も新しいものと推定されています。
鎌倉期、争いの絶えない世の中で武士たちは「無常観」・「罪悪感」を意識するようになります。仏の教えに背いた者は地獄に落ちる、という不安の中で最後に救ってくれるのは人間の姿に似たお地蔵様であると地蔵信仰が広がります。仏教に対する考え方も「仏を信じ経をとなえれば極楽浄土へ往生する」という浄土系から「自ら座禅を組み精神を鍛えることで往生する」という禅宗へと移っていきます。ストイックな武士の気風にも合っていたのでしょうね。
さて、地獄の裁判は、厳しい裁判官である十王像と優しい救い主の地蔵菩薩で構成されています。
しかし、ある時お客様から「笑ってるのですね、十王様」というコメントをいただきました。
よく見ると、右・左側共に笑顔にも見える十王様がいます。
反対に優しいはずの仏様は、いたって冷静な表情をたたえています。
仏教がインドから中国へ伝わる中で、地獄でも現世でも人々を救うお地蔵様は地獄の王「閻魔大王」と同一視されるようにもなりました。地獄では厳しい顔をしていたのかもしれませんね。
「救う」と「裁く」は、一見すると反対の意味を表すようですが、「裁き」には「無罪」の判断も含まれます。とすると、裁判官も笑顔で「よかったね、無罪!」と判決を出すこともあったのでしょうか?
みなさまにもう一度、投票のお願いです!
昨年8月〜10月に、臼杵市観光協会企画のもと行われたイベント「国宝臼杵石仏美仏総選挙2021」が、第31回日本プロモーション企画コンテストの「地域キャンペーン特別賞」を受賞しました!
こちらのコンテストは、国内外で見本市などを展開する「ビジネスガイド社」が行うもので、2021年の1年間に展開された数多くのプロモーションの中から、優れた企画に賞が贈られる、というものです。
美仏総選挙の他に受賞されているのは、誰もが知っている、有名企業ばかり!
「地域キャンペーン特別賞」はすでに頂きましたが、4/14に東京で行われる表彰式に観光協会の方が参加し、この会場でプレゼンテーションを行い、今回受賞された7つの企画の中から、投票でグランプリが決定します。
8月〜10月は美仏のイベントの中で、たくさんの方々に投票していただきありがとうございました。
もう一度、今度は「美仏総選挙」という企画への投票をお願いします!
臼杵市観光協会の方々が、今年度特に力を入れた企画になっています。
ぜひ下記リンクより投票・応援をよろしくお願いします!