刻まれた五輪塔と8月のなごり雪
ホキ石仏第1群の周辺に、岩肌に薄く刻まれた9つの供養塔があるのをご存知でしょうか?
地蔵十王像の外側の斜面にひっそりと彫られています。
臼杵石仏には珍しいタイプの浅い彫り方が特徴です。
石造りの五輪塔や丸彫りの立体的な石仏を見続けていると、探してみても見逃してしまいそうです。
でも一旦目に留まると、何だろう?なぜここに?と思わせられるインパクトがあります。
参道に点在する石を積んだ五輪塔と同じく供養塔として刻まれたのだろうと、考えられています。制作年代は地蔵十王像と同じ鎌倉期と考えられています。
大正時代の写真を見ると、地蔵菩薩の前にも五輪塔が設置されていることから、何らかの関連を持つ供養塔とも考えられます。
人々の数百年間の祈りの足跡が、様々な形状で息づいていることに改めて気付かされます。
さて、陽炎が立つような川沿いに、雪のような白い花が揺れています。いつの間にか咲いていたサルスベリ。参道内では「なごり雪」と呼ばれています。遠い雪の日に想いを馳せ涼を演出、そんな効果もあるのでしょうか?