彫り出せないなら、はめ込もう!仏師たちの智慧
古園石仏群は、他の群とは構造が少し異なっています。
仏体の下半身を見ると、色が黒っぽく見えます。これは、粘土層です。
岩のように硬くないため、仏体を立体的に掘り出すことができません。
ではどうしたのでしょうか?
下半身部分の型に合わせた岩を周辺部分の岩壁から掘り抜き、柔らかい粘土層に埋め込んでいったと考えられています。
古園入口に彫られた金剛力士立像も下の方は褐色や黒っぽく見えますが、やはり粘土層のようです。このラインを延ばせば、古園石仏群の仏体下半身部分に重なりそうです。
ひと言に「磨崖仏」と言っても、「岩に彫り出す」と「岩にはめ込む」は逆の発想です。
これも、「岩」という天然のキャンバスに仏を表現するための、素晴らしいアイディア。
都から来た仏師たち、木彫りのようにはいかないこの地で知恵を出し合ったことでしょう。勢至菩薩様を始め、智慧を授けてくれる仏様のお力添えもあったのかもしれませんね。