優しい?厳しい?大日如来様のお顔
臼杵石仏の中で最も有名な大日如来像。
みなさまはどのような印象をお持ちでしょうか?
穏やかさ・優しさ・厳しさ・・・。
先日、大日如来像をご覧のお客様から「お顔の輪郭や造作は丸みを帯びていますが、表情からはひたひたと漂う厳しさが感じられます。」という感想をお聞きしました。
確かに、平たい顎、アーチ型の眉や伏し目がちな目、ふっくらした頬といった部分を念頭に置くと、まずは柔らかい印象を受けるものです。
しかし、実際にじっくり向かい合ってみると、目は切れ長で鋭く、口元は引き締まっています。丸みの中にある鋭敏さを加味すると、なるほど厳しい表情にも見えます。
また、見る角度によっても変わってきます。
まず、下から見ると。
伏し目がちに見えた目の眼球が大きく見えるため、ピタッと目が合ったような感覚になります。
次に右から見てみます。
右頬の少し欠けた窪みやほんのりさした赤みから、温かみのある表情に見えます。
では、左から見ると。
黒目が中心へ寄って見え、隣の阿閦如来様にも通ずるような集中力を感じさせられます。顎のラインより長い福耳も目立ちます。
最後に、左斜め下から見ると。整然とした中にもクールな表情に?
私たちは、救いを求めて・願いが成就するように・人生を見つめ直すために、など様々な想いを携えて仏様に向かい合うものです。目の前の仏様のお顔には、そうした私たちの心の有り様も映し出されているのかもしれません。
みなさまがご覧になった大日如来様はどんな表情をたたえていましたか?