側面の仏様を正面から見る
普段見ている仏様の横顔って思い浮かびますか?
実際に手を合わせるのは、正面からなので横顔を見ることは少ないと思います。
仏像は「参拝する」という目的から、通常は観る者と対面するように配置されています。
臼杵石仏も、ほとんどの仏様は正面を向いています。
しかし、横顔で視界に入る仏様が数体あるのです。理由は、岩の側面に彫られているため。
岩のスペースや亀裂の関係から、平面に彫ることが難しく側面に彫ったと考えられています。
代表的なものは、ホキ石仏第1群第3龕の勢至菩薩様と第4龕向かって左端の十王様。
美術品としての彫刻なら、横向きが有名なものもありますね。躍動感や喜怒哀楽の表情を強調するための最適な角度は、真正面とは限らないのでしょう。また、鑑賞する方も周りながら、様々な角度から作品を愉しむことができます。
しかし、仏像の中でも特に磨崖仏は背面は岩ですから、360度角度を変えて鑑賞することはできません。
では、横顔で立つ側面の仏様を正面から観る方法は?と、いいますと。
こちらがくるっと直角に身体の向きを変えればよいだけです。
簡単ですが、試すことの少ない角度ではないでしょうか。
(ホキ石仏第1群第3龕の) 側面の勢至菩薩様と向かい合ってみました。目を閉じて静かに佇んでいるイメージだったのですが、真正面から見ると目は開いており、柔和な口元で語り掛けてくるような親しみやすさが感じられました。いつもの石仏巡りで、また新しい発見をした気分です。
みなさま、機会がありましたら側面の仏様とご対面してみませんか?