石仏表面、崩落した欠片の「仮留め」~文化財の「修復」の現場より
仏像表面を剥がれさせる一番の要因は、冬場の凍結です。
臼杵石仏では、シャッターによる温度管理を行っておりますが、ずっと前に剥がれてしまった部分もあり、こうした欠片も元の場所に固定する必要があります。
その方法は、というと。
特殊な素材でできた(岩に無害なレーヨン)テープで留めていくのです!
最終的には特殊な接着剤で付けることになります。その方法が確立されるまでの対策としての「仮留め」といったところです。
仮留めをしないと、最終的な接着段階に支障が生じます。また、外観上のバランスも保つことができます。
写真の黒い部分が、剥がれた部分です。透明なテープで少しずつ欠片を留めていきます。
このテープは岩に無害なだけに、数年経つと溶けてしまうというデメリットもあります。その為、定期的に留める作業が必要となります(次回は5年後)。
文化財の「修復」というと、大聖堂の壁画を貼り合わせる場面が有名ですが、磨崖仏の修復にもこうしたステップがあるのですね。
文化財の「保存・修復」の世界は、なかなか奥深いものです。