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国宝臼杵石仏公式ブログ

昭和30年代のホキ石仏第1群への誘い

 

昭和30年代のホキ石仏第1群

昭和30年代のホキ石仏第1群

お客様から昔の写真をいただきました。
(写真の掲載につきましては、お客さまより了承をいただいております。)

昭和30年代の古い石仏、その中でもホキ石仏第1群第1龕を撮影した貴重な写真です。亡くなられたお父様が撮影されたものとのことです。

60年前、覆い屋もなく蔓が石仏のお顔にかかっています。

柵も簡易なもので、参拝者はすぐ傍らに仏様を感じたことでしょう。昔の石仏の魅力は、仏と参拝者が同じ空間に在るように感にじられたことや、自然の岩肌に彫られた粗削りとも言えそうな素朴さにあるのでしょう。

 さて、写真の第1龕の如来三尊像は、存在感の強い2龕を隣にして、控え目な印象を与えがちな仏様です。

 欠損も激しく、古い写真と同じように横から見ると、釈迦如来(中尊)の深く削れた顔が際立ちます。中は空洞に見えますが、現地で見ると抜け落ちた部分は少なく比較的安定していました。

 3体のお顔は上を向いており、上品なカーブを描く眉と鼻のラインを持ちます。薬師如来(向かって左)の口元は経を唱えているように見えます。じっくり見ると、そこはかと漂う気品に気付かされる魅力的な龕です。

現在の写真

現在の写真

 敢えて憂いのある3体の如来像を被写体に選ばれたお父様が、多くの仏像を観てこられた眼識のある方だったのだろうことが想像されます。

また、慈しみの心で鑑賞されたことをしみじみと感じさせられました。

 1枚の写真を通して、今は訪れることのできない約60年前の石仏を観たような感覚をもつことが出来ます。

 みなさま、この写真を眺めて、昔の石仏の魅力を感じてみませんか?

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