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国宝臼杵石仏公式ブログ

裳縣座の穴、その中の穴

裳縣座の穴の中にある無数の穴

裳縣座の穴の中にある無数の穴

ホキ石仏第1群によく見られる形態なのですが、仏像の台座(裳縣座)に穴が開いた部分があります。
これは、経典を納めるための穴とされています。

 先日、お客様から「穴の中にさらに小さな無数の穴が空いているのはなぜですか?」という質問を受けました。
確かに、ハチの巣状に小さな穴が見られます。
近付いて見ると、台座の側面部分にも同じような現象を見付けました。

側面にも穴

側面にも穴

 この謎の答えは、仏体の土台となる地層の性質が位置によって、異なることにあります。

臼杵石仏は、水分を多く含む柔らかい地層に彫られています。仏体の下方ほどその性質が強くなるため、風化による影響が顕著に表れるようです。

 また、覆屋がなかった時代には、雨風に直接さらされ水分が下へと流れていったことも影響していることでしょう。

 造立当時は、なめらかな美肌で鎮座していたであろう仏様。
しかし、無数の穴はいくつもの時代を越えてずっとこの台座の上に在り続けた証でもあるのですから、これも味わい深いものです。

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