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国宝臼杵石仏公式ブログ

薬師如来像、薬壺は何処へ?

 

山王山の伝薬師如来像

山王山の伝薬師如来像

臼杵石仏には、数体の薬師如来像があります。
今年はコロナウイルスの関係で、度々紹介してまいりました。

 薬師如来像と言えば、東側に居る(東方浄瑠璃世界に住む仏であることから)、左手に薬壺を持った仏様というイメージが一般的ですね。

 ところが、臼杵石仏の薬師如来像には、肝心の壺が見当たりません。

ホキ石仏第1群第2龕の薬師如来像

ホキ石仏第1群第2龕の薬師如来像

お客様からも度々、なぜかと質問を受けます。
これには、いくつかの理由が考えられます。

 

  • 元々、全ての薬師如来が薬壺を持っているわけではない(制作年代の古いものほど持っていないことが多い)。
  • 薬師如来像と記されているが、そうではない可能性もある(「伝薬師如来」と書かれ、仏像名が確定していないものもある)。
  • 薬壺は仏像とは別個に作られ(材質も別のことも)、壺のみ朽ちたり損傷・滅失したケースも多く見受けられる。
  • 医療が発達していなかった時代、病気治癒を願う人々により持ち去られることも多かった。

 そうは言っても、万能薬が入っているとされる薬壺。
その中には、数百年間の人々の祈りも詰まっているのでしょう。
何だかご利益がありそうで、もし現存していれば、薬師如来像と共に拝んでみたいものです。

 そんな思いで山王山の薬師如来像を観た後、行く参道には季節外れの野イチゴがきらり。
冬を前に山鳥たちの貴重な栄養源になっているようです。
在ったかもしれない壺からこぼれ出たのかもしれませんね。

11月の野イチゴ

11月の野イチゴ

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