国宝指定から30周年~「磨崖仏」で在り続ける臼杵石仏
今月、臼杵石仏は平成7年の国宝指定から30周年を迎えております。
平成5年に大日如来さまの頭が繋がり、2年後に国宝に昇格、その後ますます多くの方が訪れてくれるようになり現在に至ります。
30年間といえば、人生・友情・愛情・事業活動・・・・何事につけても変化が起こり、存続しているということだけでも感慨深いほど長い期間です。
石仏でも台風や大雨、地震といった災害からコロナ禍まで様々な出来事がありました。
この度無事30周年を迎えることができるのも、みなさまが親しみを持って、支え続けていただいたおかげです。
改めて感謝いたします。ありがとうございます。
さて、臼杵石仏の国宝としての正式名称は「国宝臼杵磨崖仏」といいます。
「国宝臼杵石仏」という施設名は、親しみやすさを込めた通称です。
こうした2つの名前があることから、石仏と磨崖仏の違いについて尋ねられることがあります。
石でできた仏さまを「石仏」、その中でも岩に彫られた仏さまを「磨崖仏」といいます。
臼杵石仏は全て岩肌に彫られているため、「石仏」の中でも「磨崖仏」にあたります。
横から見ると、背中も頭も岩から伸びて?いる不思議な仏さま。平安の昔からずっとこの地を護り続けてこられたのも、自然の中で動かず動かされずに在る磨崖仏であることが理由の一つだといえるでしょう。
これからも、磨崖仏である臼杵石仏をよろしくお願いします。
タイサンボクの白い花~キャンディー市との姉妹都市提携から58年
六月になると大輪の白い花を咲かせ、参道を行く人々の目を惹きつけるタイサンボクの木。参道入口からホキ石仏第2群に向かう道沿いにあります。
この木は、1967年に臼杵市とスリランカ(当時はセイロン)中部の仏教都市キャンディー市が姉妹都市提携をした際の記念に植樹されました。今年で58年目、大きく育っています。
空を向いて咲くので下からの姿しか見えませんが、強い陽射しに眩しく映る白い花びらには独特の存在感があります。
キャンディー市を代表する寺院「仏歯寺」にはお釈迦様の歯が祀られているそうです。そんなことを想いながら石仏を巡ると、お釈迦様が笑顔で迎えてくれるような気がしてきます。ほのかな甘い香りも何だかエキゾチックに感じられます。
6月の鮮やかな石仏
雨模様が続き、岩にも水分が浸透しているようです。
朝から湿度も気温も高く、石仏の発色が期待できそうな気配が漂っていました。
さて、一番の発色スポットホキ1群の後半2龕を除いてみると。
流れるような黒、赤が目に映ります。
地蔵十王像の中心に座る地蔵菩薩の下半身にかかる裳懸座が揺れる様に赤々と見えます。
この赤は、酸化鉄を原料とするベンガラの赤です。
少し暗さのある野趣の感じられる風合いは、自然の中にある臼杵石仏に相応しい色だと感じられます。
地獄の裁判も白熱していることでしょう。
みなさま、6月の鮮やかな石仏をご覧になってみませんか?
梅雨入りと蓮畑の眺め
梅雨入りした本日の石仏。
古園石仏から蓮畑を眺めると、ぐんぐん成長している様子が分かります。
大日如来さまもこの光景を「今年も蓮に彩られた極楽浄土の景色を臨めるなあ。」とご覧になっているのかもしれません。
さて、古園石仏を下りると道沿いに紫陽花が並んでいるのですが、こちらも色付き始めました。
色々な種類が隣り合わせに咲くので、数メートルですが梅雨空の石仏散策を明るく締めくくってくれます。
石仏の色めく季節
昨日から気温もぐんぐん上がり、雨模様と相まって石仏がよく発色してきました。
気温と湿度が共に高くなると、仏体に造立当時から施されていた色が濃く浮かび上がってきます。
雨の日は、鮮やかな仏様に会える「石仏日和」でもあります。
目安となるのは、何と言ってもホキ1群の地蔵十王像。
元々、色がよく留まっている場所ですがさらに煌々と明るく色付きます。
十王様の手元がいつになくはっきり見えます。
両手を握っているのは、巻物を持っているからでしょうか。何しろ地獄の裁判中ですから。
調書でしょうか?